T温泉
トレゾー@心霊ストーカー軍団
平成6年夏。
友人が、
「T区に幽霊旅館があるんだってよ!知ってるか?」と切り出してきた。
そんな話は初耳だ・・・
市内で廃旅館なんてすごいな。
詳しい話を聞いてみよう。
トレゾー 「それはどこにあるんだ?どんなところ?」
友人 「わからん」
トレゾー 「・・・・・」
友人もどこからか聞いてきた話らしく詳しい事はわからないらしい。
詳しく聞いてくれるように頼んだのだが、この事が大変な事になるとは・・・
後日、友人が詳しい情報を仕入れてきた。
友人 「場所はT区の※※の※※※※で教会を曲がって突き当りらしいよ。」
トレゾー 「わかりやすいところだな。で、どんな話があるんだ?」
友人 「なんでもコックが人を殺してバラバラにして冷蔵庫に隠していたらしい・・・その霊が出るんだと。」
トレゾー 「本当かよ!凄いところだな。」
なんという興味をそそられる所だろう!
話は胡散臭さ大爆発だが、これは期待できそうな感じだ。
早速週末に行ってみる事にした。
土曜日深夜。
その日のメンバーは私、仲村、ジャスティスの3人である。
そこは住宅地に近いながら、高速道路で分断されていてあたりは山ばかりだった。
とりあえず適当に車を止め怪しそうな道を徒歩で登って行く。
何やら門が見えてきた。
その門は道路を塞ぐように作ってあり、いかにも立ち入り禁止である。
かまわず入るのだが、その門の前には大量のタバコが置いてある。
そう、心霊スポットに付き物のタバコだ。場所はここで間違いないみたいだ。
門から少し入ると建物があった。2階建てで割りと大きな建物である。
玄関は完全封鎖されていたので、建物側面にある窓から潜入を試みる。
と、その時!
後ろから話し声が聞こえる・・・
土曜の夜だ、同じ考えの若者達(当時は自分も若者だが・・・)がやってきたのだ。
若者達 「心細いんで一緒に回りませんか?」実はこっちも3人だけだったので心細かったのだ・・・もちろん異論はない。
トレゾー 「その方がいいね〜一緒に回ろう。」と、向こうが5人こっちが3人と総勢8人になった。
気を取り直し、窓から入る。
全員 「うっ くせえー!!何の匂いだ?」内部に入るとまず驚いた事があった。
それは異臭である。
その匂いは説明するのも難しいが、何とか説明するなら、動物の死体が腐ったような匂い、
いや・・・・人間かもしれない。直接嗅いだ事はないが、そんな匂いだと思う。
悪臭がその旅館の中に充満しているのだ。
こんな所に入ってもいいのだろうか・・・
それでも内部に進んでいく。ちょうど閉鎖された玄関の内側だ。
ここにも大量のタバコが置いてある。
ますます恐怖は増幅していった。
玄関からフロントを過ぎるとそこは厨房になっていた。
ここが問題の厨房らしい。しかしあの話は信用してはいなかったから、別になんとも思わなかった。
が!何だこれは・・・・
首のない仏像が置いてあるのだ!!全員驚きの声を上げる・・・
どうしてこんな所に?謎は深まるばかりだ。
不気味さもさらに深まる・・・
そして、あの業務用の大きな冷蔵庫を開けるが、特に何も入っていなかった。
ほっとしたが、当たり前か・・・
厨房を後にし、さらに奥へと進む。
不意にバサバサと音がする。
何の音だろうか・・・懐中電灯を向けると、なんとコウモリだ。
心霊スポット・首なし仏像・コウモリ・・・
なにやら嫌な予感がするが、今度は二階に上がる事にしよう。
最初に出てきた友人が言っていたことを思い出した。
友人 「2階に鏡台のおいてある部屋があるらしいが、そこは入らないほうがいいみたいだぞ」
トレゾー 「なんか問題でもあるのか?」
友人 「呪われるだか、取り憑かれるだか・・・そんな話だぞ」
確かに部屋の奥に鏡台らしき物がある部屋がある。
特に避けたわけではないが、そこに入るのは後回しにした。
と、その時、別グループの女の子がそこに入っていってしまったのだ。
しばらくして・・・・
「キャ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」な、何事だ!!
女の子は泣きながらその部屋を飛び出し、階段を駆け下りうずくまってしまった・・・・
男 「なんかあったのか?」
女の子 「△※♯∋д○・・・・・」
何を言っているのかわからない。
後は泣きじゃくるばかりだ・・・・
さすがに異常な雰囲気に包まれた。
男 「俺らこれで帰りますよ。女の子ヤバイし。」
トレゾー 「その方がいいな、気をつけて。」
男 「そっちもね。」
男は女の子を担いで旅館を後にしていった。
そして3人だけ残されてしまったわけだが、もう少し回る事にした。
もちろん、鏡の部屋は見ないことにする。怖すぎる。
二階の奥へ奥へと進む・・・
左側にトイレがあった。
仲村がそこを覗いた瞬間!
仲村 「やばい・・・・」
トレゾー 「なした?」
仲村 「もう出た方がいいわ」
トレゾー 「なんかあったのか?」
と言いつつ覗く勇気がない。
仲村 「・・・洗面台に生首が乗っかってる・・・」
トレゾー 「・・・・・・」
3人でもう一度覗く
何もない。良かった・・・
「もう出るか」
恐怖は頂点である。
誰もその問いには答えず、3人とも一目散に出口を目指した。
逃げるように外に出た。
悪臭から開放されたのと、恐怖から開放された事ですがすがしい気分だ。
トレゾー 「早いとこ帰って一杯やろうぜ」
仲村・ジャス 「そうだな〜怖かったなそれにしても」
日常に戻って平和な会話をする・・・
しかし、これで恐怖が終わったわけではなかった・・・・
車に戻りカギを開けドアを開く。
何か違和感を感じる・・・・
くさい
そうあの廃旅館の中の悪臭が車の中から漂ってくるのだ・・・・
トレゾー 「靴に泥かなんかついてないか!匂いかいでみろよ!!」
仲村 「いや、しない・・・」
ジャス 「俺のもしないぞ」
自分のも嗅ぐ。
何の匂いもしない。
明らかに車の中があの匂いなのだ!
3人にともパニック状態。
憑かれたか・・・・そうだこれが憑かれたということなんだ・・・
どうする・・・
「とりあえずコンビニで線香と塩を買ってこよう!」大急ぎで線香と塩を買い、また廃旅館に戻った。
旅館の門のところで線香を炊き、覚えてる限りのお経を唱えた。
とりあえずこれが今出来るすべての事だ・・・
また車の戻る。
だめだ・・・やはりくさい。
とにかくこんな所には一秒たりとも居たくない。
帰ろう!!
帰りの車の中。
その悪臭は生きているかのように、
運転席に来たり、助手席・リアシートに行ったりと車の中を動き回る・・・・
これは本物だ。
祟られたか・・・・
3人とも必至に霊に懇願する。
「遊び半分で行ってごめんなさい!もう二度と行きません。」
「どうかお帰りください!!」
「南無妙法蓮華経・・・・・」30分は続いただろうか・・・・
許しを得たのか、悪臭はふと消えていった。
その後はこの温泉に二度と行くことはなかった。
このことはいい経験になったと思う。
ふざけ半分では行ってはいけないと・・・・
それから数年後、ふとテレビを見ていると、
この廃温泉が不審火で全焼したとニュースでやっていた。
現在は一部を残すのみである。
あの悪臭の霊はどうなってしまったのだろう?
今でもあそこに居るのだろうか?
成仏を心から願う・・・ (終)
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