百人浜
特派員@心霊ストーカー軍団
〜雨降りツーリング〜
それは今から七年前のこと。
ゴールデンウィークを利用して内地の実家に帰省し、帯広に帰ってくる途中の事でした。
まだ、北海道に転勤してきたばかりであった私は、ついでにツーリングでもしようと
バイクでふらふら函館から襟裳まで海岸線沿いを走ってきたのでした。
途中、室蘭あたりから霧雨が降り始め、襟裳についたときには雨はいい勢いになっていました。
函館を出発して8時間は経っていました。
ケツは痛いし、寒いし、ずぶ濡れだし、腹は減ったし、もうへろへろだったのです。
そろそろキャンプでも張ろうかなと、地図を見るとちょうどいいことに近くにキャンプ場があるではありませんか!
「らあっきぃ〜!!」
距離的にももう少しである。
よし!
しばし走る。・・・
「あれ〜? ないじゃんかよう!」 (来過ぎたかな?もどってみようか・・・)
またしばし走る。
「やっぱりない・・・」と、あちらこちら行ったり来たりしているうちにだんだん我慢の限界に!
走りながらふと前を見るとなんと!大きめのパーキングがあるではありませんか!
「しょうがないここにテント張っちまうか・・・」
時間は夜の8時をまわっていました。
テントを張ってほっと一息! タバコを一服。
「かあ〜っ うめー」
「ここにはテントはらないほうがいいよー!!」
見ると漁師風のおっちゃんである。嫌がらせでも言いにきたのかな・・・
案の定であった。
ずぶ濡れのライダー捕まえて、他に行けというのである。
町に行っても宿はないし、この先黄金道路を走っていく気にもならない。
第一燃料がもたない。
しかし、おっさんは私が動くまで立ち去る気はなさそうである。(まいったな〜〜〜 鬼! 人でなし!)
しょうがないので、テントから土砂降りの外に出て、いそいそとテントをたたむ。
畜生!と思いつつキャンプ場の場所をおっさんに尋ねると、
「しらん」と一言。
あ〜そうかい! 「鬼・・・・・!」
バイクを発進させ、おっさんの姿が見えなくなってからまた、パーキングに戻ると、おおっと!!
道路の右側に入れる道が!! しかも目立たなさそうだ!!
誰もいないことを確認し、その道沿いに入っていくと展望台のようなところに出たので
道路から死角になるところに再びテントを張った。
これでやっと落ち着くことができた。
濡れた服をきがえ、携帯ストーブをたいて、晩御飯を食べ、そのあとは泥のような眠りについたのでした。
〜霧の中にいたものは・・・〜
(今・・・何時だろう?・・・)
夜中に目を覚まし、寝袋にくるまったままボーっとしていました。
(めっちゃ さみい・・・)
濡れたテントと、襟裳の風でテントの中は冷え切っていました。
あまりの寒さに、半分寝ぼけたままライダースーツを着て、また寝袋に入ろうとしたときの事・・・
・・・・・!?
(物音だ・・・!? ぼそぼそ・・・ぼそぼそ・・・・ ヤンキーどもか!?おっさんか?)
外で誰かが話をしているようだ。
かさ・・・かさ・・・・・ さく・・さく・・さく・・さく・・
さくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさくさく・・・
ずいぶんたくさんの足音だな・・・
テントの蚊帳を開けて外をのぞくと
(ん・・・? なんだあ!?)
霧の中をたくさんの人が歩いているではありませんか・・・・
(なんだろう?なにかあるのかな・・・?)
お祭り・・・?
地方によってはすごく静かに行われる祭りもあるというのは祖父から聞いたことがあったのを思い出した。
ほんとにお祭りかもしれないな・・・よし!行ってみよう!
タンクバックからカメラを取り出して外に出てみると
「あり? だーれもーいないじゃん。おっかしーなー」
周りを見ても人影なんかどこにもないのである。
しかし足音だけは相変わらずそこいらじゅうで聞こえている。
さく・・さく・・さく・・さく・・さく・・さく
ぼそぼそ・・・ぼそぼそ・・・・
(!!!)
声も聞こえるじゃん!
どこにいるんだろう? 耳を澄ましてぼそぼそ聞こえてくる話し声をきいてみた。
「連れて行こうか・・・」 「つれていこう」 「そうだ・・・」 「さがしてる・・・」 「ぼそぼそぼそぼそ」
何の話だろう・・・と考えているうちに 何故か全身の毛がぞわぞわと逆立ってきていた。
(なんだか 普通じゃないような気がする・・・)
その瞬間 言いようのない恐怖が心を支配した!
荷物もテントもそのままで ヘルメットも被らずにバイクにまたがりその場を逃げ出したのでした。
その後 人家の近くで朝を待ち、明るくなってからテントの場所に戻って 荷物を撤収したんですけどね。
まさか こんな歴史があった場所だったとは・・・
ちなみに百人浜オートキャンプ場がすぐ近くにあります。看板が出ているのですぐにわかるはず。
景色もきれい、トイレもきれいなよいキャンプ場です。
近くには店というものがないので事前に買出しをしておくことをおすすめします。
(注意) 最低限のマナーとしてゴミは各自持ち帰りましょう。
簡単に説明します。
その昔、難破した船の乗員
百人近い人間の溺死体がこの百人浜に打ち上げられたのだそうです。
一石一字塔の解説の中には その当時の事が克明に書かれています。
沈没した船の折れた帆柱(マスト)に掴まって漂着した者もいたようです。
襟裳近海の大波と強風にさらされながら亡くなられた方々のために冥福を祈ってあげてください。
パーキングから道路に向かって左側にある観音堂と一石一字塔。
写真を撮るのは大分ためらわれましたが、意を決して撮影してまいりました。
夜に、ここを訪れるのはおすすめ出来ません。
サイトにもあるとおり自己リスクでお願いします。